『君たちに明日はない』シリーズは、HR業界の若手におすすめ。

今回は『人事の代わりに読みました』というよりは『HR業界の代わりに読みました』です。私たちのような求人広告代理店に限らず、人材紹介にしろ人材派遣にしろ、その他の人材サービスの企業にしろ、HR系の企業というのは、その性質上、クライアント企業が多岐にわたります。時には、その事業や職種について深く理解しなければいけないことがあります。


毎回、毎回、新しい業界や職種について勉強しなければいけないので、それが大変でもあり、面白くもありというのは広い意味で同業の方なら頷いていただけるのではないでしょうか。ヒトフレの更新担当も、この仕事に携わって10年以上ですが、それでも初めて聞くような事業の会社に出会うことも珍しくなく、その度に調べたり、学んだりするわけです。


で、そんな風に色々な業界や職種について知識を深めたい時に役に立つのが『お仕事系漫画・小説』です。日本にはありがたいことに様々な題材を取り扱ったカジュアルなコンテンツがあり、また大抵の場合、しっかり下調べをした上でそれをうまくデフォルメして漫画や小説、ドラマなどとして表現されています。気軽な気持ちで読めながらも、その業界の雰囲気や価値観などがわかるという意味ではHR業界で働く、特にキャリアの浅い若手にとってはありがたい存在です。例えるなら、漫画編集という仕事の雰囲気を知りたいならドラマ化もされた『重版出来』はおすすめですよね。


そんな『お仕事系漫画・小説』の中で、個人的におすすめしたいのが垣根涼介さんの著作である「君たちに明日はない」シリーズです。どんな話かは、アマゾンの説明を引用します。


「私はもう用済みってことですか!?」リストラ請負会社に勤める村上真介の仕事はクビ切り面接官。どんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、なぜかこの仕事にはやりがいを感じている。建材メーカーの課長代理、陽子の面接を担当した真介は、気の強い八つ年上の彼女に好意をおぼえるのだが……。恋に仕事に奮闘するすべての社会人に捧げる、勇気沸きたつ人間ドラマ。山本周五郎賞受賞作。


主人公はリストラ請負会社(リストラ業務を代行する)の村上真介。愛車はコペン。彼が、色々な会社でリストラを行うという話。基本的に短編で、村上が担当する一人の対象者の人間ドラマが中心です。リストラ対象に選ばれて、新しい可能性を見出すもの、そのまま残るもの、無様に去っていくものと色々いるわけですが、リストラとそして村上との出会いでみんな人生が変わっていきます。


お話の性質上というかこの真介が、そもそもHR業界の人間なので、毎回、様々な業界、様々な職種が対象となり、その裏事情が語られていきます。それが割とリアリティがあるので、結構、勉強になります。それもそのはず、この著者である垣根涼介はリクルートで働いていたことがあって、求人広告の制作をしていたらしいです。広い意味で我々の先輩なわけです。


ということで、小説を楽しみながら色々な業界の感覚をつかみたいと思ったら、「君たちに明日はない」シリーズ、おすすめです。