今回の「今さら聞けない人事の常識」は「終身雇用」です。
最近では、日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長が
「経済界は終身雇用を、もう守れない」という趣旨の発言をしたり、
トヨタの豊田章男会長が「終身雇用を守るのは難しい」
と発言するなど注目を集めた「終身雇用」ですが
「それって、そもそも何?」「辞めたかったら辞められるの?」
という方のために簡単に解説します。
■終身雇用=長期雇用慣行
終身、つまり一生涯雇用するという意味。
業績悪化などによる企業倒産などが発生しない限り
定年まで雇用される日本の長期雇用慣行のことです。
あくまでも慣行なだけで、長期雇用慣行それ自体が
解雇を縛っているわけではありません。
ただ、合理的理由がない解雇を規制する
解雇権乱用の法理があるだけです。
■日本特有の珍しい雇用慣行
終身雇用の慣行は明治期に始まり、一度廃れたのちに、
第二次世界大戦後の高度経済成長期の人手不足を解決する
手段として復活し、現在まで続いてきました。
この雇用慣行は世界でも珍しいもので、経営学者の
ジェームス・C・アベグレンが著書「日本の経営」で
終身雇用、年功制、企業別組合を三種の神器と呼び、
日本的経営の特徴であると指摘。
近年でも、仕事に対して対価を払う欧米の雇用慣行
「ジョブ型」と比較して、組織の一員になる日本の雇用慣行を
「メンバーシップ型」と呼ぶこともあります。
このように終身雇用とは世界的にも珍しい日本の雇用慣行であり、
成熟した日本市場、求職者の意識変化、グローバル化による
日本企業の競争対象の変化など様々な要因から
継続が難しいのが現状のようです。
人事の皆様にとっては人材が流動化すれば、
採用のチャンスも増えるはず。
今のうちから、社会がジョブ型雇用に舵を切った時の
採用方針・方法を想定してみてもいいのではないでしょうか。
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