チェルノブイリ原子力発電所事故、エンロン事件、サブプライムローン危機、人類史に残るような大惨事の原因には、どの組織でもおこりうるような共通の因子があった。
今回の人事の代わりに読みましたは、「大惨事と情報隠蔽」。表紙にもあるような様々な大惨事の事例とそのプロセスを丁寧に紹介しながら、その共通の原因とも言える組織の情報隠蔽に関して分析した一冊です。少し人事/採用向けの本当は言い切れないかもしれませんが、管理部門としてはリスクマネジメントも無関係ではないはず。とうことで紹介させていただきます。
オススメ度:★★★☆☆
本書の特徴は、まずこれでもかというほど大惨事の事例が紹介されます。その数、実に25。有名所では、チェルノブイリ原子力発電所事故、サブプライムローン危機、日本からは福島第一原発、水俣病、さらにはスペースシャトル・チャレンジャー号の事故やドイツ侵攻に備えられなかったソ連赤軍(著者はロシアの研究者)まで、古今東西の人類のミスが紹介されていて、興味深くも読み進めるのが少し辛くなってきます。
そして、その上で、共通する情報隠蔽・歪曲の原因をリストアップしていきます。いくつか抜粋しましょう
・複雑化に追いつかない管理力
・短期的、非現実的な目標設定
・やっつけ仕事の常態化
・成功ありきで悪い知らせに耳をかさない組織文化
・上層部がリスクの全体像を把握していない
・離職率の高さ
・慣れ
・意思決定者の希望的観測、自己暗示、自己欺瞞
・上によく見られたい
これは一部ですが、このリストをみて自分が所属する組織が全く無関係そうだという方は、ほとんどいないのではないでしょうか。どれも一般的な企業でありそうな要因ばかり。その意味で組織のリスクマネジメントや管理体制などに関わる方には非常に参考になります。
ということで「大惨事と情報隠蔽」オススメです。
0コメント