チェックリスト。それは平凡な魔法。

そろそろ本格化する新卒採用は一大プロジェクト。人材要件の策定、ナビサイトの選定、採用HPのリニューアル、会社説明の企画、場所の手配などなど、大小様々なタスクの集合体。そんな時に役に立つのがチェックリストです。ということで、今回の人事の代わりに読みましたは「アナタはなぜチェックリストを使わないのか」です。


オススメ度:★★★★☆


この本、チェックリストの作成のコツやテクニックが書かれている本ではありません。どちらかというとチェックリストの大切さを様々な事例を交えながら滔々と説いています。なぜこの著者は一冊の本をかけて「チェックリストの大切さ」を伝えようとしているのか。それはチェックリストを使うことに、多くの人が心理的な抵抗を感じるからだと思います。みなさんにも心当たりがあるのではないでしょうか。職場の業務に何らかのチェックリストが用意されていても、「そんなの見なくても覚えられるでしょ」と思ったり、最初の2回だけ使ってみて、あとは使わなくなったり。


しかし、この本を読むとそんな「チェックリスト」に対して反射的に沸き起こる反発心が、いかに無意味なものか、そして「チェックリスト」という平凡でありきたりで幼稚にさえ思える道具が人間の認知的な弱点を驚くほどカバーしてくれる優れたものであるかが、よく分かります。この本の効用は「チェックリスト」への認識を変え、その重要性を深く植えつけてくれることです。当たり前に「チェックリスト」を活用すること、日々の業務で淡々と「チェックリスト」を運用すること、そのモチベーションをくれるのです。


その重要性に関しては、読んでいただくのが一番ですが、一つだけ象徴的な例を本書から紹介したいと思います。


ある病院で試験的に3ヶ月間、手術に関するチェックリストを運用したそうです。その結果80%のスタッフがチェックリストの有用性(手術を安全にしてくれた)を認めました。つまり残りの20%は「チェックリスト」は手術をより安全にしてくれなかったと思っているわけです。しかし、「もしもあなたが手術を受けるとしたら、その時にチェックリストを使って欲しいと思いますか」という質問には93%が「はい」と答えたそうです。


ということで「アナタはなぜチェックリストを使わないのか」おすすめです。