立場が弱い管理部門が会社を変えるには、象を動かすしかない!?

会社にもよると思うのですが利益をあげる事業部門とか営業部門の方がプレゼンスが大きく(ようは声がデカかったり)、社内のプレゼンスで劣っている人事や総務など管理部門主導で新しいルールやシステムを導入する時に上手く浸透させることができないというのは、わりとある光景かなと思います。そんな時に役に立ちそうなのが、今回の人事の代わりに読みましたで紹介する『スイッチ!「変われない」を変える方法』です。


オススメ度:★★★★☆


この本は一言でいえば自分も含めた「人間を動かす」方法について書かれた一冊です。それはどのような方法か。その例として、冒頭にこんなエピソードが紹介されます。ある映画館で「アンケートのため」といって飲み物とポップコーンを無料配布した実験。片方のグループにはMサイズのポップコーンを渡し、もう片方にはLサイズのポップコーンを渡したところ(Mにしろ、Lにしろ、到底、食べきれないポップコーンが入っている)Lサイズの方を渡されたグループの方が最終的に食べた量が多かったという結果だったそうです。つまり人の行動は、(ポップコーンのカップという)環境で変わるということです。


その上で、本書では人間の意思決定や行動に関して「象使い」と「象」という独特の比喩を使って説明します。「象使い」とは「理性」、そして「象」とは「感情」。ファスト&スローでいえば、ファストが「象」、スローが「ゾウ使い」と言ったところでしょうか。


人を動かす時に、頭でっかちな「象使い」だけに訴えかけてもうまくいかないと本書は説きます。「頭ではわかっているのにできない」というのは、よくある話。「痩せるためにはおかわりしなければいいのに、おかわりしてしまう」というのは、私の話です。そしてどのようにして「象」と「象使い」を効果的に動かしていけばいいのか、具体的なテクニックが次々と紹介されていきます。詳細は、ぜひ本書を手にとってみてください。


本書内で挙げられている数々の具体例も勇気づけられます。発言力に劣る管理部門のように、何の権限もリソースもない人が少しの工夫で多くの人や組織を変えていく。一つの国を変えた事例も紹介されています。もちろん、うまくいった事例が選抜されているとは思うのですが、その紹介されている手法などは「なるほどな」と思わせるものがあり説得力があります。


ということで、象を動かし人を動かす方法を身に付けたいなら、『スイッチ!「変われない」を変える方法』おすすめです。