目標管理は、誰のため。「目標管理の教科書」人事の代わりに読みました。

御社の人事評価制度って、どんな感じですか。やっぱり上司と部下で、通年なり半期の目標を決めて、その達成度を見て評価する目標管理型の人事評価ですかね。ということで、今回の人事の代わりに読みましたは「目標管理の教科書」です。日本でも、すっかり人事考課制度として一般的になった目標管理(MBO = Management By Objective)についての書籍です。人事制度の制度設計や改善、運用の現場への浸透などは、人事の重要な業務の一つ。ということで、今回は、こちらを紹介させていただきます。


オススメ度:★★★☆☆


なぜ、このオススメ度かというと、どちらかといえば現場で制度運用をするマネージャー層向けの本だという観点からです。ただ人事制度を設計、改善、運用する人事の方にとっても非常に示唆に富んだ内容となっておりおすすめです。


まず本書を読んでみて、個人的に目から鱗だったのが「本来、目標管理はメンバー育成の手段である」「それを人事評価システムとして代用しているのが日本流MBOの不幸である」「メンバー育成と人事考課。という二つの、そして二律背反的な目的に一つの仕組みで処理しようとする強引さが問題の根元」という点です。


言葉にすると当たり前すぎる指摘ですが、この点を認識しないで制度を運用しているマネージャーやリーダーは意外なほど多いのではないでしょうか。著者は、この問題意識を起点に「なぜ、ほとんどの企業で目標管理がうまくいかないのか」「そんな状況でもMBOを機能させるためには、どのような工夫が必要なのか」などを、非常に具体的にアドバイスしてくれています。


ここからは個人的な実感であり本書でも指摘がある点なのですが、旧来の日本型の年功序列ではなく成果主義への移行が社会的に叫ばれる中、またはバブル崩壊やリーマンショックなどで(年功序列の前提である)右肩上がりの成長が保証できなくなる中、多くの企業が成果主義を導入しようとした時に、便利そうなMBOがそこにあったのではないかと思うのです。育成という目的を持った仕組みを、評価で使用する。そのねじれこそが多くの企業で、MBOがいまいち機能しないという指摘は非常に的を射ていると思いますし、この問題の構造を知ることで改善の道筋が見えてくるのではないでしょうか。


ということで、人事の方に取っても、大いにヒントになるのではないでしょうか。ということで、「目標管理の教科書」オススメです。