面接の技術というと、どのような質問をするかといった「訊く」技術が問われがちですが、同時に応募者の方の声に耳を傾け本音を聞き出したり、共感することで応募動機を形成していく「聴く」技術も重要です。特に中途の面接の場合は、キャリアカウンセリングという側面も少なくないですよね。
また人事は様々な各事業部門と接点があり、要望や人材要件をヒアリングするようなシーンも少なくないと思います。だからこそ必須スキルと言えるのが最近、よく言われるようになった「傾聴」スキル。
傾聴とはを一度、おさらいすると、以下のようになっています。
「傾聴」とは、カウンセリングやコーチングにおけるコミュニケーションスキルの一つです。人の話をただ聞くのではなく、注意を払って、より深く、丁寧に耳を傾けること。自分の訊きたいことを訊くのではなく、相手が話したいこと、伝えたいことを、受容的・共感的な態度で真摯に“聴く”行為や技法を指します。それによって相手への理解を深めると同時に、相手も自分自身に対する理解を深め、納得のいく判断や結論に到達できるようサポートするのが傾聴のねらいです。
引用元 weblio辞書
では、どうやってそんな「傾聴」スキルを身につけるのか。
ということで、今回の人事の代わりに読みましたでご紹介したいのは、「プロカウンセラーの聴く技術」です。かなり有名な本なので、読んだことがある方も多いかもしれません。初版の発行が2000年で、私の手元にある本が2008年発行で59刷りなので、現在ではもっとその数字が増えていると思います。
オススメ度:★★★★☆
本書は臨床心理士でもある著者が、その仕事の実践を通して身につけた「聞く」ための技術を平易な言葉でわかりやすく言語化してくれている一冊。ちなみに「傾聴」という言葉は、本書には一切、出てこない(たぶん)のが面白いですね。17年前には、あまり流通していなかった言葉なのかもしれません。
技術とは言っても、一つひとつは割と普通のことです。すこしだけ抜粋してみましょう。
・「聞き上手は話さない」
・「聞き手の肯定的な態度が、相づちを打つことによって話し手に伝わる」
・「自分のことは話さない」
・「相手の話に興味をもつ」
・「素直に聞くのが極意」
・「評論家にならない」
いずれも 創元社 東山 紘久 著 「プロカウンセラーの聞く技術」より引用
もちろん、より実践的なアドバイスや専門的な内容も載っていますが、一貫して強調されているのは上記のような聞き手として姿勢です。誰もが上記のようなことは「そうした方がいい」とわかっていながらも、できている人は少ないのではないでしょうか。ついつい余計なアドバイスをしたり、自分の話にしてみたり、評論してみたり、否定してみたり、逆にどう思うのとか言ってみたり、それらをしないために自分をコントロールするのが、どれだけ難しいか。特に相手が子供やメンバーや年下の応募者だった場合は。
本書を読むと、少なくともその難しさを理解することができ、人の話を聞くという場面でちゃんと自分のスイッチを入れられるようになります。それこそが最も大切な技術と言えるのかもしれません。
今回、この記事を書くために久しぶりに、少し読み直してみたのですが、最近の自分を振り返ってみると、できていない事が多いような気がして、少し背筋が伸びました。
17年前の本ですが、おすすめです。
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