【採用できない企業あるある】とりあえず「未経験歓迎」

今回の採用できない企業あるあるは、「とりあえず未経験歓迎」です。ようはどんな募集でも、とりあえず未経験歓迎という文言を求人広告などに記載したがる姿勢のことですね。というか、これ我々のような求人広告代理店側もやってしまいがちなので、自戒を込めてという話なんですけど。


未経験者でもいい、でも経験者の方がベターではある。その程度のニュアンスであれば「経験者、優遇」「未経験者、歓迎」と併記するのは、それほど問題ありません。しかし、基本的には経験者が欲しい、99%経験者じゃなきゃ務まらない。万が一、もしかしたら凄まじいポテンシャルを秘めた未経験者の場合は、無理とはいいきれない。そんな募集でもとりあえず「未経験者歓迎」としてしまうのは効果上、マイナスの効果があります。


一つは、「未経験者歓迎」とする以上、ある程度、未経験者に目配せした広告内容にする必要が出てくること。想定する読者を経験者と未経験者の両方にしなければいけないので、どうしても広告内容に鋭さが失われます。そうすると、広告内容をすべて経験者向けにして「未経験歓迎」とだけ表記すればいいのではと思うかもしれません。しかし、そうした場合においても本来のターゲットである経験者に対しては、「この募集は未経験でも務まる程度のものだ」という認識をあたえることです。中学生に「これは幼稚園児でもできるお手伝いだよ」と言うのと同じで、あまりいい感情を喚起せず広告的にはマイナスになります。なのでおすすめできません。


でも、この「とりあえず未経験歓迎」は、求人メディアのいたる所で目にします。なぜか。一言でいえば、「応募数がないと、自分が怒られる」からですね。人事や採用担当としてはコストのかかる求人広告を使って、効果がなかったら上司なり経営者に怒られる。それは避けたい。そして効果がないといっても、一定の応募はきたけど採用に至らなかったと、そもそも応募数がなかったというケースの場合、前者の方が、まだダメージは少ない。ということで、応募数を底上げできる可能性のある「とりあえず未経験歓迎」をしておこうというわけです。で、業者側(我々のことですね)も「応募数がないと、自分が怒られる」から、「絶対Noではないなら、いれておきましょうかね」とかいってしまう。その結果、世に送り出されるのは、経験者と未経験者どっちに来て欲しいのかわからない求人広告です。


あと、これがなぜ、中々なくならないかというと、採用に至るかどうかはともかくやっぱり応募数は伸びるという現実があるからだと思います。どの求人メディアにも、「未経験者歓迎」の広告を検索して、機械的に全件に対してエントリーするような層が一定以上いるんですよね。


なので、大切なことはまず、採用の人材要件を明確にすること。本当に経験者が必要なのであれば、「見せかけの応募数はいらない」と腹をくくりその経験者を採用するためにベストな方法を考えること。


ということで、その「とりあえず未経験歓迎!」とやりそうになったら、一度、考え直してみてください。