やる気のない社員は硬直している!?MINDSET 「やればできる!」の研究

たぶんポテンシャルはある。仕事もできないわけじゃない。でも、こちらが期待(予測)するほど成長しない。もっとできるはずなのに。いろいろアドバイスしたり一緒になってやってみたりしても、なかなか変わらない。技術的にできないというよりは、本人が変わろうとしない感じ。新しいやり方に臆病だったり、頑なに自分の方法論や自説に固執するようなところがある。もしかしたら、そんな部下の成長を妨げているのはマインドセットかもしれません。


ということで今回の人事の代わりに読みました。は、「マインドセット「やればできる! 」の研究」です。


オススメ度:★★★☆☆


本書では、二つのマインドセットの対比が繰り返し語られます。それが「硬直マインドセット」と「しなやかマインドセット」。ちなみに英語だと「fixed mindset」と「growth mindset」となっており、こっちの方がイメージしやすいかもしれません。


「硬直マインドセット」の人は、自分の能力は固定的なものでそれゆえにその有能さを証明したがる一方で、変わらないと思っているからこそ変わろうとせず、周囲の人の評価に一喜一憂してしまう。一方で「しなやかマインドセット」の人は、自分の能力は努力などで必ずものだと捉えており、それゆえに例えば失敗や挫折なども「乗り越えるべき課題」として捉えることができたり、他人の評価にふりまわされないですむ。


子どもたちを二つのグループにわけ、片方のグループには「勉強は産まれながらの才能で決まる」と教え、もう片方のグループには「勉強は個人の努力で決まる」と教えたら、後者のグループの成績の方が伸びた。という実験は、できすぎなようですが、一方で多くの人が実感レベルで、この二つのマインドセットの存在とその差というのは納得できる気がします。


芸能、ビジネス、スポーツなどあらゆる面で二つのマインドセットの人物が交互に紹介されていきます。ドキッとするのは教育の章で子育てをまさにしている身としては、意識せずに子供を「硬直マインドセット」にしてしまうような声かけをしてしまっているなと思わされました。


もちろん本書でも注釈があり、一人の人間がどちらかに分けられるというよりは各人にそれぞれがいりまじっており、学校の勉強では「しなやかマインドセット」でも音楽的なことになると「硬直マインドセット」なってしまったりということが一人の人間の中で起こるということです。


ただ一方で「スタンフォード大学心理学の権威による」という煽り文句の割には学術的な根拠もかかれず、またもっとも知りたいマインドセットの変え方の記述が少なかったりという点は読んでいて不安を感じる点かもしれません。誰だって「しなやかマインドセット」の方がいいというのは頭ではわかっている。でも、それが難しいという話だと思いますので。


それでも、冒頭で書いたような部下の成長を応援しなければいけない時、はたまた自分がそういうタイプだった時に、その理由が「性格」という生来のものと捉えるのではなく、変えることができる「マインドセット」だと思えることが、本書の意味なのかもしれません。


人材育成プログラムなどのアイディアを得るためにも、「マインドセット「やればできる! 」の研究」おすすめです。