以前、AIは人事にとって頼れる相棒か強力なライバルか。なんて記事をアップしましたが、AIの応用分野としてHR領域は主戦場の一つ。ということで話題の本「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を「人事の代わりに読みました」。
オススメ度:★★★★☆
著者はヒトフレでも何度か取り上げてきた「リーディングスキルテスト」でおなじみの国立情報学研究所教授 新井 紀子さん。というか本書自体が新井教授の「東ロボプロジェクト」から「リーディングスキルテスト」に至るまでの取り組みがベースとなっています。
少しおさらいすると、「AIの限界を示すため」にAIを東大に合格させるというプロジェクトをスタートさせた新井教授が、その過程でAIが苦手な分野であるはずの「読解」を将来、AIと競合することになる子どもたちも苦手なのではないかという仮説にたどりつき、それを検証するために「リーディングスキルテスト」を開発・実施してみたら、その結果・・・というのがすごくザックリとした流れです。
ヒトフレ更新担当もこの辺の関連記事や新井教授のインタビューは読んでいたのですが、WEBの短い記事では書かれない詳細や解説があったので、この話題に興味がある方なら読んでみて間違いないと思います。
第1章、第2章においては、『AIに人類の仕事がすべてうばわれる』『シンギュラリティがきて、超知性体となったAIに人類は滅ぼされる』『AIが雑務はすべてやってくれるから、人類はクリエイティブな業務に集中できてハッピー』などなど、根拠なきAI脅威論とAI楽観論と2極端の言説ばかりが目立つ現在にあって、AI技術の歴史や今のAI技術の仕組みを解説しながら、AI技術の限界を示しつつ「すべての人類の仕事を奪うことはないが、半分くらいは奪うかも」という未来像を示します。
ちなみに現代のAI技術を理解するには「働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」」もオススメです。
そして後半、第3章からは読解力に疑問を抱いた経緯、そしてリーディングスキルテストの開発、その結果から見えてきたことが語られます。
詳細は本書を手にとっていただくとして、AIという分野が進出しようとしている人事/採用関連の仕事についている方には、人事/採用業務にAIを活用するにも自分自身がAIとの競合に打ち勝つ人材になるためにも、そしてAIでは代替できない人材を採用するためにも、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」かなりおすすめです。
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