嫌子と好子は、中国の偉人ではありません。「上手な教え方の教科書」

研修プログラムをつくったり新入社員向けの研修の講師役をおこなったり、教育研修を人事部門が担っている企業も少なくないと思います。研修の講師役を任されている方もいるかもしれません。そんな人事の方だけでなく、職務として人に教える機会がある方にオススメしたいのが、今回の人事の代わりに読みましたでご紹介する「上手な教え方の教科書 入門インストラクショナルデザイン」です。


オススメ度:★★★★☆


インストラクショナルデザイン。聞きなれない言葉ですが本書では、「教えることの科学と技術」と紹介されています。インストラクションとは教える行為であり、それをデザイン(設計)するからインストラクショナルデザイン。またインストラクショナルデザインは教育工学という比較的、新しい分野の学問領域の中心的部分であると説明されています。そして教育工学の基盤となっているのは、学習心理学、認知心理学、認知科学などの心理学とネットワーク、マルチメディアなどのICTだと説明されています。


そのため表紙にある通り、わりとユルめの解説マンガが章ごとに挟まれる構成にはなっているため軽い入門本っぽい印象ながら、そこら中にあまり見慣れない専門用語が登場してきます。


例えば「嫌子と好子」、もちろん中国の偉人ではなく簡単にいえば嫌なことと良いこと。教育的な文脈では、アメとムチといった方が分かりやすいかもしれません。強化したい行動があったばあいには好子を出現させたり嫌子を消失させたり、逆に弱めたい行動があれば、好子を消失させたり嫌子を出現させたりといった文脈で使用されています。


それだけに少し読みづらいのですが、「教えると教えらえる」ことで起こりがちなことがしっかりと理論をもとに解説されているので、今、教えることで悩んでいる人にはきっとヒントになるはず。また科学的であるということは再現性が高いということなので、自分の資質にかかわらず「自分でもできる」と思わせてくれます。あと、子どもの教育にも当たり前ですが応用できそうです。ということで、


上手な教え方の教科書 入門インストラクショナルデザイン


おすすめです。