現在、クリストファーノーラン監督の映画「ダンケルク」が公開されています。
見たいなと思いつつ、まだ見れていません。
この映画の舞台である「ダンケルクの戦い(wikipedia)」を指揮したのが、
当時の英国首相ウィンストン・チャーチル(wikipedia)。
その偉大な功績に関しては触れるまでもないですが、
このタフな政治家は従軍記者としてキャリアをスタートし、
政治家になった後も文筆家として活躍するほどだったこともあり、
その修辞テクニックを駆使した大量の名言を残しています。
「チャーチル 名言」と少し検索すれば、もう山のように出てきます。
それでも、こないだ本を読んでいたらあまり知られていない名言を見つけたので、
ご紹介したいと思います。
「彼に対する特定の偏見を遺憾に思う。個性が強く独特の考え方をする人物に対しては、そういう偏見を抱きがちだ。・・・・・・われわれは戦時にあり、生命を賭して戦っている。その職歴を通じて一度も論争を引き起こさなかったような人間のみを、陸軍が幹部に任命するようなことを、看過している余裕はない」
日本経済新聞出版社 ポール・ケネディ 著「第二次世界大戦 影の主役―勝利を実現した革新者たち」 第4章より引用 ※強調は筆者
名言として知られていないのは、名言というには「なげーよ」という話だと思いますが、
マネジメントや人材登用という観点からみると、非常にグッときませんか。
これはこれまで「型破りな」機甲戦を提唱し陸軍上層部と衝突していた、
パーシー・ホバート(Wikipedia)少将(当時)の登用について、消極的な陸軍省を
チャーチルが叱責した言葉だそうです。
確かに、問題を起こさない人材というのは、
上司やマネジメントサイドからみると楽な存在ですが、
もしかしたら、何もしていないだけかもしれません。
空気も読まず、慣習や文化にも躊躇せず、
必要なことや新しいことを提示できる、時には独断で行動に移してしまう。
組織内で論争や軋轢を起こしてしまうかもしれませんが、
そこに一定の妥当性と合理性があり成果への熱意がであれば、
一方的に非難されるのも不合理だと思います。
上司としてはめんどくさいというのは、分かりますが。
特に新しい課題の解決を求められ続ける有事にあっては、
そういった人材の有効活用は、確かに生命線。
だからこそ「看過している余裕はない」という言い回しなのでしょう。
そしてまた常に競争にさらされている、われわれ営利企業というのは、
365日24時間有事みたいなものなんで、
この言葉は、英国陸軍以上に大切なのかもしれません。
ちなみに、ホバート少将は、その後、
Hobart's Funnies, 「ホバートのゆかいな仲間たち」と呼ばれる、
特殊車両を多数保有する部隊をつくりあげ、
その車両群は、あのノルマンディー上陸作戦にも投入され大きな戦果をあげます。
※Hobart's Funnies,で画像検索すると、確かに奇妙な車両がいくつも見られます。
「有能な問題児を活用できる」
そんな組織こそが、真に強い組織なのかもしれません。
※この名言を見つけた「第二次世界大戦 影の主役―勝利を実現した革新者たち」は、
第二次世界大戦中の偉大なトップの決断や一兵卒の人間ドラマではなく、
その間にいるミドル、中間管理職による「戦場の課題解決」を扱った本で
かなり面白かったです。
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