『採用基準』は採用基準の話じゃない。人事の代わりに読みました。

今回の「人事の代わりに読みました」は、「採用基準」です。

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 マッキンゼー出身の伊賀 泰代さんによる著作で、発売は2012年。当時、結構、話題になったし売れたので読んでる方も多いかもしれません。


オススメ度:★★★☆☆


 かなり社会的な評価も高く個人的にも非常に参考になったのですが、なぜこのイマイチな「オススメ度」かというと、まるで「採用基準」というマッキンゼーという会社のすごく優れた採用方法や哲学、選抜基準について語られれていると思いきや、内容のほとんどが「リーダーシップについて」だからです。なので、人事/採用担当向けの書籍という観点とタイトルと中身のギャップを考えると、このオススメ度になってしまうというわけです。


 一方で、こと「リーダーシップ」に関しては、非常に分かりやすく説明されておりオススメです。とはいえ、一言で「リーダーシップ」と言っても様々な定義やあり方があると思いますが本書内語られている「リーダーシップ」とは、なにか。分かりやすく、説明されているのがタクシーの例(P198)です。人身事故などで電車が止まり駅のタクシー乗り場などで、長蛇の列ができると、海外では必ず誰かが相乗りを誘い始めるが、日本ではほとんど見かけない。その方が、効率的に全員が早く帰れるし、安上がりなのに。そしてこういった時に「私は◯◯方面にいきます。一緒に乗りたい方、いらっしゃいますか?」と声をあげることができることが「リーダーシップ」の発揮だと著者は語ります。


 つまり問題がそこにあった時に「自らの役割と決まっているわけではないけれど」「その問題解決という成果に資する最適な行動を考え」「まず自分が事を起こす」ということでしょうか。

 その上で、著者はリーダーに必要な4つのタスクと4つの基本動作を以下のように紹介しています。


リーダーがなすべき4つのタスク
その1:目標を掲げる
その2:先頭を走る

その3:決める

その4:伝える

リーダーの基本動作

基本動作1:バリューを出す

基本動作2:ポジションをとる

基本動作3:自分の仕事のリーダーは自分

基本動作4:ホワイトボードの前に立つ

いずれもダイヤモンド社「採用基準」より

 

 詳しい内容はは、ぜひ本書を手にとっていただくとして、この「リーダーシップ」こそがマッキンゼーで求めている採用基準だという話なのですが、企業規模の大小に関わらず、上記の例だけでも、強く共感してしまう方っていらっしゃると思うんですよね。むしろ社内的な整備がなされていない中小企業やベンチャー企業などでは、ここで語られている「リーダーシップ」って非常に大事ですし、頭角を表してくるのは、こういった資質を持つタイプかなと思います。

 いろいろな企業に取材でお伺いする立場の私たちですが、やっぱり中小やベンチャーだといらっしゃることが多いです。こういうタイプの「リーダー」の方。いただいた名刺の肩書きより、やたら担当範囲が広くて、決めることやリスクテイクすることに迷いがない。

 私たちの会社も決して大きな会社ではないので、こういった資質を持った方を採用したいという思いもあった時に、この「採用基準」を読んで、なんとなく考えていたことが明晰に言語化されていて、非常に参考になった覚えがあります。(個人的には「人の落し物を、迷いなくダッシュで拾って届けるタイプ」とか「公園でゴミが落ちていたら、ゴミ箱に入れるタイプ」とか心の中で、それまでは呼んでいたのですが)

 さらに「リーダーシップ」の育成の仕方などもあり、参考になります。ということで、「リーダーシップ」とは何かということに悩んでいる方や、選考で「リーダーシップ」を持つ人材を選抜したいという人事や採用担当の方なら、「採用基準」おすすめです。

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